宮部みゆきさんの過ぎ去りし王国の城を読んだ感想です。
あらすじは以下からどうぞ。
感想
描写の細かさ
絵の中の世界の柔らかい感じの描写がきれいで丁寧でした。
そのおかげで、真(しん)と珠美の二人が絵の中の世界に入り込んだときに、森の中の様子を細かくイメージすることができました。
実は一番はじめに絵の中に入ることができると気付いたときに、真が真っ先に感じたのは森の匂いでした。
この部分に妙にリアリティーがあったのを覚えています。
確かに森とかに行くと独特な匂いがしますし、森の様子の描画でなく匂いから描写するところが素晴らしいと思いました。
心情の描写
10年前の事件を調べていく中で、真が置いてきぼりにされているときに感じる感情とかもなんかリアルだったりします。
この物語は基本的に真からの視点で進んでいくのですが、せっかく自分も調べていたのに何の説明もされずにしばらく待機と言われたらそりゃすねちゃいますよ。まだ中学生ですし。
まあ、他の二人は真に対する思いやりからそういう態度をとったわけですが、全部話しても真の選択肢を奪うことになってしまいますし…難しいですね。
変わったのはパクさんだけなのか
最終的に伊音ちゃんを救い出して真たちが平行世界に移ったときに、『世界は変わらなかったけれど、パクさんは変わったのだ。』とありますが、真もまた同様に変わったのだと思います。
というのも最後に珠美と話すとき、真自身も今まで考えたこともない家業を継ぐという選択を急にしています。
はじめのころ真は「仕方がない、家業だ」と嫌いではないですが、やらなくてはいけないもの程度に思っているようでした。
しかし、最終的には実際に自分が家業を継いでいる様子を想像して「悪くない」と思うようになっています。
これが良い変化か悪い変化かはわかりませんが、この出来事が真に何かしらの影響を与えてそうですね。
まとめ:過ぎ去りし王国の城
後半の展開は若干急な気もしましたが、なんだかんだ一気に読んでしまいました。
集中して読んでしまったので、2~3時間で読み終わってしまいましたね。
そのくらい引き込まれてしまいました。
それでは。
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