絵の練習で何をすればいいかわからないときの決め方

お絵描き

絵が上手くなりたいと思って調べると、いろいろな練習法が出てきます。

模写、クロッキー、デッサン、人体、パース、色、構図。どれも必要そうに見えます。

一つに決められないまま動画や記事を見ていると、描く前に時間がなくなることもあります。

こういうときは、初心者向けの練習を上から順番にこなすより、今描いている絵で止まった場所から決めるほうが簡単です。

まず一枚描いてみる。どこで手が止まったかを見つける。その原因に合う練習を一つ選び、終わったら同じ絵へ戻る。

この記事では、「何を練習すればいいか」をその日のうちに決める方法を紹介します。

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何を練習するかは、描く前には分からないことがある

まだ一枚も描いていない状態で、「自分に必要な基礎は何だろう」と考えても、はっきりした答えは出にくいです。

人体が必要かもしれない。パースも必要かもしれない。線も色も気になる。

絵に必要なものをすべて並べれば、どれも間違いではありません。ただ、全部を同時に練習することはできません。

必要な練習を決めるには、先に描いてみます。

完成させなくても構いません。描きたい人物や場面を20分ほどでラフにします。資料を見てもよいので、今の力で進めます。

すると、どこかで具体的に困ります。

「腕を上げたときの肩が分からない」

「顔は描けたが、体との大きさが合わない」

「背景を置いたら、人物が目立たなくなった」

「色を選べず、下塗りから先へ進めない」

この困った場所が、次に練習する候補です。

「人体が苦手」のままでは練習を決められない

苦手なものを見つけても、範囲が広いままだと練習へ移れません。

「人体が苦手」では、骨や筋肉の本を最初から読むのか、全身クロッキーをするのか、手だけ描くのか決められません。

困りごとを、描いている途中に起きたことまで小さくします。

  • 人体が苦手 → 腕を上げたとき、肩と首をどうつなぐか分からない
  • 顔が苦手 → 斜め顔で、奥側の目の位置が決まらない
  • 色が苦手 → 肌に影を置くと、顔色が悪く見える
  • 構図が苦手 → 人物を中央以外に置くと、空いた場所を扱えない
  • 背景が苦手 → 室内の机と人物の高さが合わない

ここまで小さくすると、調べる言葉も練習する範囲も決まります。

その日に直すのは一つだけです。肩を調べる日なら、手や服の違和感は次に回します。

手が止まった原因を4種類に分ける

同じ「描けない」でも、原因によって必要な練習は変わります。

今回は、次の4種類に分けます。

  1. 知らない
  2. 見分けられない
  3. 再現できない
  4. 決められない

どれに当てはまるか迷う場合は、順番に試します。

1.知らないなら、短く調べてすぐ描き直す

構造や描き方を知らないため、手が止まっている状態です。

たとえば、腕を上げると肩の形がどう変わるのか知らない。和服の襟がどちらを上にして重なるか分からない。逆光で顔にどんな影ができるか知らない。

この場合は、技法書、写真、解説動画などで必要なことを調べます。

ただし、一つ分からないからといって、人体や光について最初から全部勉強する必要はありません。

肩で困ったなら肩のページだけを読む。写真を二、三枚見て、共通する形を探す。必要なら小さく模写する。

15分ほど確認したら、最初の絵へ戻って描き直します。

調べるだけで終わると、理解したつもりでも自分の絵では使えないことがあります。知識を得た日のうちに、困っていた一か所へ使うところまで進めます。

技法書を部分的に使う方法は、絵の技法書を買ったけど、どう使えばいい?でも詳しくまとめています。

2.見分けられないなら、見本と自分の絵を比べる

資料を見ているのに、どこが違うのか分からない状態です。

顔が似ていないことは分かるが、目、鼻、輪郭のどこを直せばよいか判断できない。ポーズ写真を見ても、自分の人物が硬く見える理由が分からない。

この場合は、新しい描き方を覚える前に、違いを見つける練習をします。

  • 見本と自分の絵を同じ大きさで並べる
  • 左右反転して見る
  • 半透明にして重ねる
  • 頭、胸、骨盤など大きな形だけに分ける
  • 余白の形を比べる

細部から探すのではなく、一番大きく違うところを一つ選びます。

頭の傾きが違うなら、目を直す前に頭全体を直します。人物が硬いなら、手足より先に胸と骨盤の向きを比べます。

違いを一つ見つけて描き直せたら、その日の練習は終わりでも構いません。

模写で見本を観察し、自分の絵へ移す方法は、絵の模写は何を考えながらやればいい?でも紹介しています。

3.再現できないなら、小さな範囲を繰り返す

構造は分かっていて、見本との違いも分かる。しかし、狙った線や形を描けない状態です。

円を描こうとしても歪む。長い髪の線が震える。手本を見れば手の形は分かるが、何度描いても指の長さがそろわない。

この場合は、範囲を小さくして繰り返します。

同じ顔を十枚仕上げるのではなく、輪郭だけを五回描く。手全体ではなく、手のひらと親指のつながりだけを角度を変えて描く。長い線を引くなら、拡大せず腕を使って引いてみる。

一回ごとに、どこが狙いと違ったかを確認します。

ただ数を増やすのではなく、

「奥側の目を毎回大きく描いてしまう」

「線の終わりで力が入り、太くなる」

のように、自分の癖を一つ見つけます。

十回描いても変わらない場合は、さらに回数を増やす前に、見方や描く手順を変えます。

4.決められないなら、三つだけ案を出す

形は描けるのに、構図、色、服、表情などを選べず止まっている状態です。

この場合、デッサンや線の練習をしても決めやすくなるとは限りません。必要なのは、完成度の低い案を並べて比較することです。

構図なら、小さな四角を三つ描き、人物の位置だけ変えます。

色なら、同じラフを三つ並べ、明るい配色、暗い配色、色数を抑えた配色を試します。

表情なら、眉と口だけを変えた顔を三つ作ります。

最初から正解を一つ出そうとせず、三つの中から目的に近いものを選びます。

「楽しそうに見せたい」「人物を一番に見せたい」「静かな場面にしたい」のように、その絵で優先したいことを一文にすると選びやすくなります。

原因が分からないときは、好きな絵と一項目だけ比べる

自分の絵に違和感はあるが、何が問題なのか分からないこともあります。

その場合は、目標に近い好きな絵を一枚用意し、一項目だけ比べます。

  • 人物が画面のどれくらいを占めているか
  • 顔の周りにどれくらい余白があるか
  • 一番暗い場所と明るい場所はどこか
  • 細かく描かれている場所はどこか
  • 最初に目が向く場所はどこか

絵柄や題材が違っても、配置や明暗の扱いは比べられます。

それでも分からなければ、少し時間を置いて見直すか、他の人に「最初にどこを見たか」「どこに違和感があるか」だけ聞く方法もあります。

修正方法まで相手に決めてもらわなくても、問題の場所が分かれば次の練習を選べます。

問題が多すぎるときは、一番大きいものか、何度も出るものを選ぶ

一枚描くと、直したいところが十個くらい見つかることがあります。

全部を練習項目にすると、何から始めるか分からない状態へ戻ります。

選ぶ基準は二つです。

  • 直すと絵全体の印象が大きく変わるもの
  • 以前の絵でも繰り返しているもの

顔の目だけでなく頭全体が傾いているなら、頭の傾きを先に直します。

今回だけ靴が描けなかったことより、毎回ポーズが硬くなることが気になるなら、重心や胸と骨盤の向きを選びます。

一つ直したあとに、次の問題を選びます。最初から優先順位をすべて決めなくても構いません。

練習は、元の絵へ戻るところまでを一組にする

練習で手を五枚描いた。肩について本を読んだ。構図の模写をした。

そこで終わると、練習と作品が別々になってしまいます。

練習のあとには、最初に困っていた絵へ戻ります。

手を練習したなら、キャラクターの手を描き直す。肩を調べたなら、腕を上げた人物を直す。構図を三案作ったなら、そのうち一つでラフを進める。

上手く使えなければ、まだ足りないことが分かります。

もう一度資料を見る。練習する範囲をさらに小さくする。別の方法で説明している資料を探す。

「練習が終わったか」ではなく、「元の絵が少し進んだか」を区切りにします。

今日の練習を決める手順

何をするか迷った日は、次の順番で決めます。

  1. 描きたい絵を20分だけ描く
  2. 最初に手が止まったところを一つ書く
  3. 「知らない・見分けられない・再現できない・決められない」のどれかを選ぶ
  4. 15分だけ調べる、比べる、繰り返す、または三案出す
  5. 元の絵へ戻り、一か所描き直す

合計で40分ほどです。

一時間使えるなら、残りの時間でそのまま作品を進めます。社会人が毎日1時間だけ絵を練習するなら、何をすればいい?で紹介したように、練習だけで一時間を埋める必要はありません。

一週間だけ同じ課題を試す

毎日違う練習を探すと、方法を選ぶだけで疲れます。

同じ問題が続くなら、一週間だけ課題を固定します。

たとえば斜め顔の目が気になる場合は、

  • 1日目:今の描き方で斜め顔を描く
  • 2日目:写真や好きな絵と位置を比べる
  • 3日目:奥側の目だけ角度を変えて描く
  • 4日目:見本を閉じて描く
  • 5日目:自分のキャラクターで一枚進める

という流れにします。

一週間後に最初の絵と比べ、変化があれば続けます。変化がなければ、練習時間を増やす前に方法を変えます。

クロッキーのように目的が合うときだけ取り入れる練習もあります。クロッキーは毎日やるべき?で紹介したように、必要な時期に週2〜3回行うだけでも練習メニューへ組み込めます。

まったくの初心者なら、好きなものを一つ描いてみる

まだ何を描きたいかも、何が苦手かも分からない場合は、好きなものを一つ選んで描きます。

好きなキャラクターの顔、机にあるマグカップ、自分の手など、すぐ資料を用意できるものが始めやすいです。

最初から線、図形、デッサン、人体をすべて順番に学ぶ必要はありません。

一つ描けば、「形を取れない」「線を狙った場所へ引けない」「影の付け方を知らない」など、次にすることが見えてきます。

線を引くこと自体が難しければ線の練習をする。見本との差が分からなければ並べて比べる。描き方を知らなければ、その部分だけ調べる。

初心者であることより、今どこで止まったかを基準にします。

まとめ:練習法ではなく、今の問題から選ぶ

何を練習すればよいか分からないときに、練習法の一覧をさらに増やす必要はありません。

まず描きたい絵を描いて、手が止まったところを一つ選びます。

  • 知らないなら、必要な部分だけ調べる
  • 見分けられないなら、見本と比べる
  • 再現できないなら、小さく繰り返す
  • 決められないなら、三つ案を出す

練習したあとは、元の絵へ戻って一か所直します。

今日することを決めるなら、途中の絵か過去の絵を一枚開き、「この絵で最初に困ったのはどこか」を一文で書きます。

その一文が具体的になるほど、必要な練習も選びやすくなります。

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