絵が上手くなりたい。
でも、仕事が終わってから使える時間はせいぜい1時間もない。
SNSを見ると、毎日何時間も描いている人や、学生の頃からずっと絵を描いてきた人が目に入ってくるので、「1日1時間くらいで意味があるのかな」と思うことがあります。
ただ、社会人が絵を練習するなら、そもそも学生やプロと同じやり方をする必要はありません。
大事なのは、限られた時間の中で、
何を練習するかを毎回考えなくていい状態を作ること
だと思います。
この記事では、1日1時間くらいしか使えない社会人が、どうやって絵の練習を組み立てればいいかを考えてみます。
1時間全部を「練習」にしなくていい
最初に決めておきたいのが、
「1時間あるなら、1時間ずっとデッサンしなければいけない」
と考えないことです。
絵を上手くするための練習と、実際に描きたい絵を描く時間は分けすぎないほうが続きやすいです。
例えば1時間なら、
- 15分:短い練習
- 35分:描きたい絵を描く
- 10分:見直す
くらいでも十分です。
「今日は練習の日」「今日は作品の日」と完全に分けるより、毎日少しだけ両方やったほうが習慣にしやすいと思います。
最初の15分は、その日のテーマを一つだけ練習する
練習するときに一番やりがちなのが、
「今日は人体もやって、顔もやって、手もやって、パースもやろう」
と欲張ることです。
1時間しかないなら、これはほぼ無理です。
今日は顔。
明日は人体。
その次は手。
くらいでいいです。
例えば、
「斜めを向いた顔の奥側の目」
が苦手なら、その日はそこだけ描く。
「立ち姿が硬い」
と感じているなら、5体くらい短時間でポーズを描く。
「服のシワが分からない」
なら、写真を見ながら服だけ描く。
広く練習するより、
自分が今描いていて困ったところを、その都度小さく練習する
ほうが、実際の絵には反映しやすいです。
練習内容は「描いていて困ったこと」から決める
「絵の初心者は何から練習すればいいですか?」
という質問はよくあります。
人体、デッサン、パース、色、構図。
必要なものはいくらでもあります。
でも、全部を順番に勉強してから絵を描こうとすると、いつまで経っても作品を作れません。
個人的には、
まず描く → 困る → そこだけ練習する
という順番のほうが分かりやすいです。
例えば人物を描いていて、
「腕の付き方が変だな」
と思ったら、肩と腕の構造を調べる。
「横顔が描けない」
と思ったら、横顔を何枚か描く。
「影をつけたら急に汚くなった」
と思ったら、白黒で明暗だけ考えてみる。
自分の絵の中で問題が発生してから勉強すると、
「なぜこれを勉強しているのか」
がはっきりします。
35分くらいは普通に描きたいものを描く
絵の練習を始めると、ついクロッキーや模写ばかりやってしまいます。
でも、本来は描きたいものを描くために練習しているはずです。
だから1時間しかないなら、半分以上は普通に絵を描いていいと思います。
完成しなくても問題ありません。
平日に少しずつ進めて、休日にまとめて描く方法でもいい。
例えば、
月曜日:ラフ
火曜日:顔と人体を直す
水曜日:線画
木曜日:色を置く
金曜日:影
休日:仕上げ
という進め方でも、1週間で1枚作れます。
1日で完成させようとしなければ、社会人でもそれなりに作品は作れます。
模写は「そっくり描く」だけにしない
模写も有効ですが、ただそっくり描くことだけを目的にすると、かなり時間がかかります。
1時間しかない場合は、
「今日はこの絵の影だけ見る」
「人物のシルエットだけ真似する」
「顔の角度だけ見る」
という使い方もできます。
例えば好きなイラストを見て、
なぜこの人物は立体的に見えるのか。
なぜ背景がうるさく見えないのか。
なぜ線が柔らかく見えるのか。
一つだけ考えて、その部分を真似してみる。
全部をコピーする必要はありません。
クロッキーは毎日やらなくてもいい
クロッキーを毎日やったほうがいい、という話もよく聞きます。
もちろん時間があるなら悪くありません。
ただ、社会人が使える1時間のうち30分を毎日クロッキーに使うと、それだけで作品を描く時間がかなり減ります。
個人的には、
週に2〜3回、10〜15分程度
くらいからでもいいと思います。
特に、
- ポーズが硬い
- 人体のバランスがおかしい
- 立ち姿しか描けない
と感じているときに増やせばいい。
必要なときに練習量を増やすくらいで十分です。
技法書は最初から最後まで模写しなくていい
絵の技法書を買うと、
「全部理解しなければ」
と思ってしまいがちです。
でも、辞書のように使ってもいいと思います。
例えば人物を描いていて肩が分からなかったら、肩のページを見る。
手が描けなかったら、手のページを見る。
理解できなかった部分だけ少し模写する。
そしてもう一度、自分の絵に戻る。
技法書を一冊最初から最後まで終わらせること自体を目的にしないほうが、実践では使いやすいです。
毎日違う練習を探さない
1日1時間しかない人にとって、一番もったいないのは、
「今日は何を練習しよう」
と20分くらい考えることです。
そこで、練習する内容をあらかじめ何個か決めておきます。
例えば、
月:顔
火:人体
水:休み、作品だけ
木:手
金:クロッキー
土日:作品
くらいで十分です。
もちろん守らなくても構いません。
目的は予定を守ることではなく、
PCやタブレットを開いた瞬間に描き始められるようにすることです。
1時間できない日があっても気にしない
毎日1時間と決めても、仕事が忙しい日は当然あります。
そんな日は10分でもいいと思います。
技法書を読むだけでもいいし、昨日の絵を見直して一か所直すだけでもいい。
「1時間できなかったから今日はゼロ」
にしてしまうより、
少しだけでも絵に触るほうが、次の日に戻りやすいです。
社会人の練習では、練習量そのものより、
絵を描かなくなる期間を作らないこと
のほうが大切なのかもしれません。
1か月単位で一つだけテーマを決める
毎日の練習とは別に、
「今月はこれを少し良くしたい」
というものを一つ決めておくのもおすすめです。
例えば、
今月は顔。
来月は人体。
その次は色。
という具合です。
1か月後に昔の絵と比較すると、自分では気づかなかった変化が見えることがあります。
逆にまったく変わっていなければ、
「この練習方法は合っていなかった」
と判断できます。
絵の練習は、何をやれば必ず上達するというものでもありません。
だから、
試す → 描く → 比較する → やり方を変える
くらいの気持ちで続けるほうがいいと思います。
まとめ:1時間なら「少し練習して、たくさん描く」
1日1時間しかないなら、個人的には、
15分練習して、残りは描きたい絵を描く
くらいから始めるのがおすすめです。
必要な知識を全部身につけてから作品を描く必要はありません。
描いている途中で困ったことを見つけて、その都度少し勉強する。
社会人の場合は、この繰り返しのほうが現実的です。
毎日何時間も描けなくても、
昨日より顔が少し自然になった。
以前よりポーズが固くなくなった。
前より早くラフを描けるようになった。
そういう小さな変化を積み重ねていけば十分だと思います。
まずは今日描いている絵の中から、
一番気になっているところを一つだけ選ぶ。
そこから練習を始めてみるのが、一番簡単です。


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