絵の技法書を買ったけど、どう使えばいい?最初から全部模写しなくていい

お絵描き

絵の技法書を買ったのに、あまり使えていない。

最初の数ページは読んだけれど、そのまま本棚に置いたままになっている。

そんな本が増えると、「買っただけで満足している」「一冊も終わらせられない」と気になってきます。

特に、最初のページから順番に読み、載っている作例をすべて模写しようとすると大変です。仕事のあとに少し描くくらいでは、なかなか先へ進みません。

でも、技法書は一冊を最初から最後まで終わらせなくても使えます。

今描いている絵で困ったことを一つ選び、その答えがありそうなページだけ読む。少し試したら、自分の絵に戻る。

この使い方なら、途中で止まっている本も練習に使えるようになります。

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技法書を「終わらせること」が目的になっていないか

技法書を開くと、最初から順番に進めたくなります。

1ページ目を読む。作例を模写する。次のページへ進む。また模写する。

もちろん、この方法が合う本もあります。ただ、ページ数の多い人体や背景の本で同じことをすると、知りたい内容へ着く前に疲れてしまいます。

さらに困るのは、模写を終えたことで練習も終わった気になりやすいことです。

本の手は描けたのに、自分のキャラクターの手は描けない。

見本の顔は写せたのに、角度を少し変えると分からなくなる。

これは、模写した量が足りないというより、本で見たことを自分の絵で試すところまで進んでいないことが原因かもしれません。

技法書を何ページ進めたかより、昨日まで描けなかったものを一つ描けるようになったかを見るほうが、目的を見失いにくいです。

まず自分の絵を描いて、困ったところを一つ見つける

何を勉強するか決められないときは、先に絵を描きます。

ラフでも構いません。人物を一人描いてみると、たいてい途中で手が止まります。

たとえば、

  • 横顔にすると後頭部が平らになる
  • 腕を上げたときの肩が分からない
  • 手を描くと急に小さくなる
  • 服を着せると体の形が消える
  • 色を塗ると人物と背景がなじまない

といった具合です。

この中から、その日に調べるものを一つだけ選びます。

「人体を勉強する」では範囲が広すぎます。「腕を上げたときの肩を見る」まで小さくすると、開く本と読むページを決めやすくなります。

一度に全部直そうとしなくて大丈夫です。肩を調べる日なら、手や服の違和感は残しておきます。

技法書を使う手順は4つでいい

技法書を作品に生かしたいときは、次の順番で使います。

1. 何も見ずに一度描く

2. 一番困ったところを一つ決める

3. 関係するページを読み、必要なら小さく模写する

4. 本を閉じて、もう一度自分の絵を描く

大切なのは4番目です。

本を見ながら描けるようになったところで終わらず、本を閉じて描き直します。完全に覚えていなくても構いません。分からなければ、また本を開いて確認します。

たとえば手を練習するなら、次のように進めます。

  • まず自分のキャラクターに手を描く
  • 指の付き方がおかしいと気づく
  • 技法書で手のひらと指の付け根のページを読む
  • 作例を二つだけ模写する
  • 本を閉じ、キャラクターの手を描き直す
  • 最初の手と比べる

作例を十枚きれいに写すより、二枚だけ確認して自分の絵を直すほうが、何のために練習したのかが分かります。

模写するときは、見るものを一つに絞る

技法書の作例を模写するなら、絵全体をそっくり写す必要はありません。

肩の構造を知りたいのに、顔や髪や服まで丁寧に描いていると、それだけで時間がなくなります。

肩を見る日は、首、鎖骨、肩、上腕くらいまでで止めます。色の本なら、線画を作り込まず、同じ色の組み合わせを小さな四角に塗るだけでも試せます。

模写を始める前に、余白へ次のような一文を書いておくのも便利です。

「腕を上げると、鎖骨と肩はどう動くかを見る」

見るところが決まっていれば、線のきれいさに気を取られにくくなります。

反対に、「何となく上手そうだから模写する」だけだと、終わったあとに何を覚えたのか分からなくなりがちです。

30分しかない日の使い方

平日に30分だけ使えるなら、次の配分から始められます。

  • 5分:今の絵を描き、一番困るところを決める
  • 10分:技法書の該当ページを読む、または一部を模写する
  • 10分:本を閉じて自分の絵を描き直す
  • 5分:前後を比べ、次に見ることを一行だけ残す

読み始めて10分で理解できなくても、その日はそこで切り上げます。

一度で理解しようとすると、調べるだけで時間を使い切ってしまいます。次に同じところで困ったとき、もう一度そのページを読めば十分です。

1時間使える日の練習については、社会人が毎日1時間だけ絵を練習するなら、何をすればいい?でもまとめています。

本の種類によって使い方を変える

どの技法書も同じように模写する必要はありません。

人体や解剖の本

描いていて分からなかった部位を引く、辞書のような使い方が向いています。

筋肉の名前をすべて暗記するより、今描きたいポーズで外から見える形を確認します。肩を調べたなら、腕を上げたポーズを角度を変えて二、三個描くと、自分の絵へ移しやすくなります。

ポーズやクロッキーの本

時間を決めて数を描く使い方もできますが、毎回すべてを全身で描かなくても構いません。

重心を見たい日は頭から足までの流れだけ、ひねりを見たい日は胸と骨盤の向きだけを取ります。

色や光の本

文章を読んだだけでは分かりにくいため、自分で試してみるのが一番です。

同じ顔に暖色と寒色の影を置いて比べる。光源の位置だけ変えて三つ並べる。完成作品を一枚作るより、違いを見比べられる小さな絵のほうが試しやすいです。

構図や演出の本

好きなイラストや自分の過去絵に当てはめながら読みます。

視線がどこへ向かうか、人物をどの大きさで置いているかなど、該当する項目を一つ探します。そのあと、自分の絵を小さなサムネイルで描き直します。

ソフトの操作やメイキング本

必要な機能だけ試します。

最初から同じ作品を再現するより、「このブラシ設定を自分の線画で使う」「このレイヤー構成で一部分だけ塗る」としたほうが、普段の制作に残りやすいです。

最初から順番に進めたほうがいい本もある

すべての本を拾い読みすればよいわけではありません。

前の章を理解していることを前提に進む入門書や、課題が少しずつ難しくなるドリル形式の本は、順番に取り組んだほうが分かりやすいです。

目次を見て、

  • 前半が基礎、後半が応用という構成になっている
  • 各章に練習課題があり、前の課題を使って次へ進む
  • 著者が順番に進めることを明記している

といった本なら、最初から進める意味があります。

それでも、すべての作例を完璧に仕上げる必要はありません。内容を説明できる、または自分の絵で一度使えたら、次へ進むくらいでよいと思います。

読んだ内容を細かくノートにまとめなくていい

勉強した内容を忘れないように、きれいなノートを作りたくなることがあります。

ただ、ノート作りに時間を使いすぎると、絵を描く時間が減ってしまいます。

残すなら、次の3点で十分です。

  • 何に困っていたか
  • どの本の何ページを見たか
  • 次に何を試すか

たとえば「腕を上げた肩が四角くなる。『○○』42ページ。次は鎖骨の傾きから描く」と書いておきます。

本に付箋を貼るだけでも構いません。もう一度困ったときに戻れる状態になっていれば、内容を全部書き写す必要はありません。

買ったままの本が何冊もあるときは

未読の本を全部消化しようとすると、また一冊目で止まります。

本棚から、今の悩みに一番近い本を一冊だけ出します。ほかの本はしまったままで構いません。

どれを選ぶか迷ったら、今の絵を見ながら「次の一枚で何を少し良くしたいか」を決めます。

顔を良くしたいなら顔の本。ポーズが硬いなら人体やクロッキーの本。塗りで迷うなら色や光の本です。

一冊を読み終えたら次の本へ進むのではなく、今の問題に答えてくれそうな本を選びます。同じ本の同じページに何度戻っても問題ありません。

まとめ:必要なページを使って、自分の絵に戻る

技法書は、最初から最後まで読み切らなくても役に立ちます。

使い方は、次の繰り返しです。

1. まず自分の絵を描く

2. 困ったところを一つ選ぶ

3. 必要なページだけ読む

4. 小さく試す

5. 本を閉じて自分の絵を描き直す

一冊を終わらせることより、自分の絵で一つ使えたことを区切りにします。

本棚に止まったままの本があるなら、最初のページからやり直す必要はありません。今描いている絵で一番気になるところを決めて、目次から関係しそうなページを一つ探すところから始められます。

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